僕が好むのは かつてあったあらゆること

いまではもはやないこと
もはや感じない苦痛
かつての誤った信仰
苦痛を残した昨日
悦びを残していったもの

それらはかつて存在したが 過ぎ去ってしまったから
今日という日もすでに また別の日だ

_フェルナンド・ペソア

美しく、可愛く、シックで切ない世界に生きなさい。

_チェコ好き「note(2016/01/03)」

子供の世界は、私たちの後に閉ざされた王国のほかの何ものでもございませんのね。

_野溝七生子「山梔」

そそぐ光。それが僕らを吹きよせて一つにする。
僕らはその輝きを、痛みを、名をになう。
僕らをめざしてゆらぐものは、白く、
僕らがとりかわすものは、重さを持たない。
白く軽やかなもの──
さまよわせよ、それを。

_パウル・ツェラン「白く軽やかに」

「生きていることが悪ではないように、死ぬことも悪ではないのだ、とだれかが言ってくれたら……」
「だれか……。だれ?」
「キリストに匹敵する人」

神は在るのか。虚妄なのか。(…)空虚をみたしたのは、如何なる哲学書でもなく、現前の存在である総統であった。

_皆川博子「総統の子ら」


人間に関わる事象においては、泣かず、笑わず、憤らず、ただ理解せよ。

_スピノザ

「や、姫が笑ったぞ。姫が笑ったぞ。」

_澁澤龍彦「ねむり姫」

ひとは花にもにたるかな。才となさけは花の香よ。花のひらきて香ぐわしく、花おちるときは香もむなし。花おち土にかえれども、なおきえやらぬ花の業。香はむなしくもほろぶれど、なおとどまりし香の性。今さく花はいにしえの、花の魄ぞよ今の香は、いにしえの香の魂なれや。

_武田泰淳「才子佳人」

完璧であった。朗誦につきまとふ、あの大時代な思ひ入れ、目をむくような抑揚が私は嫌ひだ。
カザレスはよそをむいて呟くように「肉は悲し(ラ・シエール・エ・トリスト)」と最初の一行を誦してくれた。

_塚本邦雄「冥府燦爛」

私が作りたかった映画、それは(…)
LSDをやらなくてもあの高揚感を味わえる人間の在り方を変える映画だ。

大事なのは芸術で、技術はそのあと

彼は教祖のように人をやる気にさせた

私は信じた。人の意識を変える映画を作ることは神聖な使命で自分を犠牲にする必要がある。命を捧げる覚悟だった。

_「ホドロフスキーのDUNE」

What is to give light must endure burning.
(世界を照らす者は己の身を焼かねばならない)

_ヴィクトール・E・フランクル「夜と霧」