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わたしの耳によみがえるのは、エダが散文詩を諳んじた声だけだ。罌粟のねむたげな葩をゆする風は「想ひ出すなよ」「想ひ出すなよ」と呟いて……
_皆川博子 「想ひ出すなよ」

青い花そこより芽吹くと思うまで君の手首に透ける静脈
_松野志保 「モイラの裔」

(出典:『ガール・イン・ザ・ダーク』高原英理 編著)